生理痛と卵巣の痛みの違いは判断しにくい
生理に伴う下腹部や腰の痛みのことを生理痛といいます。なかでも下腹部の痛みは生理に限らずさまざまな原因で生じます。特に女性の場合は子宮や卵巣、卵管などの病気から来る下腹部の痛みである可能性も考えられます。
しかし、生理中に“卵巣が痛い”“下腹部が痛い”という場合も、自身では生理痛によるものか、卵巣の異常によるものか、その違いを判断することは困難です。そのため、気になる症状がある場合は、産婦人科を受診し、医師に相談することを検討しましょう。
生理によって生じる痛み“生理痛”とは
生理とは、妊娠が成立しなかった場合に子宮内膜が剥がれ落ちて経血とともに体の外へ出ていくことです。これは出産をするために必要な体の仕組みです。
生理中は生理に伴ったさまざまな症状が出ることがありますが、中でも生理痛は約8割の女性が何らかの痛みを感じているといわれています。ある程度の痛みは生理的な現象であるといえますが、生理痛によって仕事や学校を休んでしまうなど、生活に支障がある場合は病気が原因で生じている可能性があるため、我慢せずに産婦人科を受診するようにしましょう。
生理中に卵巣が痛い時に考えられる原因
子宮の左右両方に存在するのが卵巣です。卵巣に異常が生じた場合は、右下もしくは左下の腹部に痛みが生じます。この場合は、卵巣茎捻転 (らんそうけいねんてん)や卵巣出血、子宮外妊娠によって痛みが生じている可能性が考えられます。
卵巣茎捻転
卵巣茎捻転は、卵巣が捻れている状態のことで、主な症状は下腹部の痛みです。この状態が悪化すると、卵巣が壊死(腐ってくる)してしまうこともあります。主に卵巣の病気がある、ホルモン剤などの不妊症治療薬を使用している、妊娠している場合に生じやすいといわれます。
卵巣出血
卵巣出血とは、卵巣の血管が切れてしまったことでお腹の中で出血が起きている状態です。下腹部に痛みが生じます。主に性交渉や外傷が原因で生じるといわれます。
子宮外妊娠
子宮外妊娠とは、赤ちゃんを育てる場所である“子宮”以外の場所で妊娠することです。
生理中に下腹部が痛い時に考えられる原因
生理中にひどい下腹部痛が見られる場合、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が懸念されます。腹痛のほか、持続した出血が生じることがあり、クラミジア感染や手術歴などが原因となっている可能性があります。
病院を受診する目安は?
下腹部痛に悩まされる機会の多い方は、さまざまな病気を早期発見・治療するためにも、一度は婦人科の受診を検討するとよいでしょう。生理中に痛みが生じる場合はもちろん、生理でない時期の不正出血や下腹部の痛みなども何らかの病気によるものである可能性もあるため、病院の受診を検討しましょう。
生理中に気になる症状がある場合は受診を検討する
下腹部の痛みの原因を自己判断することは困難です。そのため、痛みがあれば病院を受診することを検討しましょう。
生理による痛みの場合は、体を温め血行をよくしたり、リラックスタイムを作ったりすることによって、痛みの緩和が期待できる場合もあります。しかし、それでも痛みが続く場合は“月経困難症”と診断され、治療が必要になることもあるため、我慢せず受診することが大切です。